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2. Wanderlust を起動する

Wanderlust を起動するまでに必要な手順を順番に説明します。

(当然のことながら、これらよりも先に、メール/ニュースを読むことのできる環 境があらかじめ必要です。)


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2.1 MIME 用モジュールのインストール

Wanderlust を使うためには、まず先に SEMI をインストールしておく 必要があります。

SEMI は以下の場所からダウンロードできます。

 
SEMI:   ftp://ftp.m17n.org/pub/mule/semi/

SEMI には APEL, FLIM と呼ばれるパッケージも必要です。 APEL, FLIM は以下の場所からダウンロードできます。

 
APEL:   ftp://ftp.m17n.org/pub/mule/apel/
FLIM:   ftp://ftp.m17n.org/pub/mule/flim/

APEL, FLIM, SEMI の順にインストールしてください。 基本的にすべて ‘make install’ の実行で済むはずです (XEmacs 21 では ‘make install-package’)。

インストールの方法の詳細については、各パッケージに添付されているドキュメ ントを参照してください (1)

推奨される APEL, FLIM, SEMI のバージョンの組合せは、以下の通りです。

その他、FLIM, SEMI にはいろいろな変形バージョンが存在しますが、 それらのいずれも利用可能です。 基本的に最新版の組合せなら動作するはずです。 例えば、以下の組合せで動作することが確認されています。

APEL, FLIM もしくは SEMI のバージョンアップを行った場合は、Wanderlust を インストールし直してください。


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2.2 パッケージの入手と展開

Wanderlust 本体は以下の場所からダウンロードできます。

一次配布元:

 
ftp://ftp.gohome.org/wl/

ミラーしていただいている ftp, http サイト:

 
http://www.jpl.org/elips/wl/
http://www.ring.gr.jp/archives/text/elisp/wl/
ftp://ftp.ring.gr.jp/pub/text/elisp/wl/

入手したパッケージは適当な作業ディレクトリに展開しましょう。

 
% cd ~/work
% tar zxvf wl-version.tar.gz
% cd wl-version

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2.2.1 SSL (Secure Socket Layer) の利用

Wanderlust では、SMTP, IMAP, NNTP, POP のコネクションにおいて、SSL (Secure Socket Layer) を使用できます。

SSL の利用形態には、コネクションと同時に SSL negotiation を始めるものと、 STARTTLS command の後に SSL negotiation を始めるものの二種類 があります。

通常の SSL を利用するには 本パッケージの ‘utils’ ディレクトリにある ‘ssl.el’ をインストールする必要があります。なおかつ、OpenSSL に含ま れる openssl にパスが通っている必要があります。

STARTTLS を利用するには、さらに、starttls パッケージをインストール する必要があります。

starttls パッケージは以下の場所から入手できます。

 
ftp://opaopa.org/pub/elisp/

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2.3 バイトコンパイルとインストール


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2.3.1 通常のインストール

Makefile’ の LISPDIR, EMACS のあたりを編集します。 LISPDIR にはパッケージのインストール先、 EMACS には利用する Emacs のコマンド名を指定します。

 
% make
% make install

Makefile’ 中の LISPDIR を変更せず、 そのまま(‘NONE’ のままでも)インストールした場合、 適当なインストール先を自動的に検出します。 実際のインストール先については後述します。

Mule 2.3 など、‘subdirs.el’ が無く、load-path にサブディレクトリが 自動的に加わらない Emacs では、

 
Cannot open load file: mime-setup

というエラーが出ることがあります。この場合は、custom, APEL, FLIM, SEMI のインストール先を環境変数 EMACSLOADPATH に加えるか、展開ディレクト リの ‘WL-CFG’ というファイル中でload-path を通しておくと良い でしょう。

また、新聞フォルダを利用する場合や、BBDB を利用する場合には、それぞれ emacs-w3m、BBDB がインストールされているディレクトリに load-path を通しておくと必要なモジュールがバイトコンパイル/インストールされます。 See section 新聞フォルダ, See section bbdb.el.


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2.3.2 ‘WL-CFG

WL-CFG’ というファイルが展開ディレクトリに存在すると、 インストール時に読み込まれるようになっています。 インストールで SEMI 等の load-path の設定が必要であれば、 ‘WL-CFG’ に設定してください。

インストール先は ‘Makefile’ 中の LISPDIR で指定しますが、 実際に ‘*.el’, ‘*.elc’ が入るディレクトリ (LISPDIR からの相対パス)は ‘WL-CFG’ 中の変数 WL_PREFIX, ELMO_PREFIX で指定します。

WL_PREFIX

WL モジュールをインストールするディレクトリを指定します。 これは LISPDIR からの相対パスです。 WL モジュールはファイル ‘wl*.el’ ‘wl*.elc’ を含んでいます。

ELMO_PREFIX

ELMO モジュールをインストールするディレクトリを指定します。 これは LISPDIR からの相対パスです。 ELMO モジュールはファイル ‘elmo*.el’ ‘elmo*.elc’ を含んでいます。

WL_PREFIX, ELMO_PREFIX のデフォルトはいずれも ‘wl’ です。

elmo*’ (ELMO モジュール) を ‘elmo’ 配下にインストールしたければ、

 
(setq ELMO_PREFIX "elmo")

とします。


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2.3.3 XEmacs package としてインストール

Wanderlust は XEmacs (21.0 〜) の package のひとつとしてインストールする ことも可能です。package としてインストールすると、autoload の設定、 アイコンのパス設定を個人の ‘~/.emacs’ に記述しなくても Wanderlust を正常に起動できるようになります。

XEmacs の package としてインストールするには以下のようにします。

 
% vi Makefile
% make package
% make install-package

package のディレクトリは、SEMI をインストールしてあれば自動検出されます。 (‘Makefile’ 中の PACKAGEDIR でも設定可)


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2.3.4 インストールしないで利用

Wanderlust はバイトコンパイル、インストールをしなくても、‘wl’, ‘elmo’ のディレクトリに load-path を設定すれば起動する ことができます。例えば ‘~/work’ にパッケージを展開した場合、 ‘~/.emacs’ に以下の設定をすれば起動できます。

 
(add-to-list 'load-path "~/work/wl-version/wl")
(add-to-list 'load-path "~/work/wl-version/elmo")

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2.3.5 マニュアルについて

マニュアルは Info 形式です。 インストールするには下記を実行してください。

 
% make info
% make install-info

XEmacs の package としてインストールした場合は自動的に Info ファイルも インストールされているので、これらの操作は必要ありません。

また、下記にもマニュアルがあります。

 
http://www.gohome.org/wl/doc/wl-euc_toc.html

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2.4 ‘.emacs’, ‘.wl’ の設定

Wanderlust のパッケージは、大きく分けて二つのモジュール群を含んでいます。

ELMO (elmo-*.el)

すべてをフォルダに見せるモジュール群です。WL のバックエンドです。

WL (wl-*.el)

Wanderlust 本体の動作を決めるモジュール群です。ELMO のフロントエンドです。

ユーザは elmo-, wl- で始まる変数の設定を変えることによって Wanderlust の動作をカスタマイズできます。

最低限必要な設定は以下の通りです。

 
;; autoload の設定
;; (XEmacs の package としてインストールした場合は必要ありません)
(autoload 'wl "wl" "Wanderlust" t)
(autoload 'wl-other-frame "wl" "Wanderlust on new frame." t)
(autoload 'wl-draft "wl-draft" "Write draft with Wanderlust." t)

;; アイコンを置くディレクトリ。初期設定は Emacs 固有のデフォルト値。
;; (デフォルトの値が正しければ必要ありません)
(setq wl-icon-directory "~/work/wl/etc")

;; メールを送信する SMTP サーバ。 初期設定は nil
(setq wl-smtp-posting-server "your.smtp.example.com")
;; ニュース投稿用の NNTP サーバ。 初期設定は nil
(setq wl-nntp-posting-server "your.nntp.example.com")

Wanderlust 起動後、‘~/.wl’ が存在すればそれをロードします。したがって Wanderlust に固有の設定は ‘~/.wl’ に記述しておくと整理しやすいでしょ う。face の設定は ‘~/.emacs’ に書くことはできないので‘~/.wl’ に書いてください。See section ハイライトの設定.

上記のうち、autoload の設定は ‘~/.emacs’ に書く必要があります。 それ以外の設定は ‘~/.wl’ に記述できます。


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2.4.1 mail-user-agent

以下のような設定を ‘~/.emacs’ にしておくと、C-x m (compose-mail) によって Wanderlust のドラフトモードを起動する ようになります。Wanderlust を Emacs 上の標準メーラとして使いたい場合は設 定しておくと良いでしょう。ただし、これは mail-user-agent の定義が 可能な Emacsen の場合のみ有効です。 See (emacs-ja)Mail Methods section ‘Mail Methods’ in The Emacs Editor.

 
(autoload 'wl-user-agent-compose "wl-draft" nil t)
(if (boundp 'mail-user-agent)
    (setq mail-user-agent 'wl-user-agent))
(if (fboundp 'define-mail-user-agent)
    (define-mail-user-agent
      'wl-user-agent
      'wl-user-agent-compose
      'wl-draft-send
      'wl-draft-kill
      'mail-send-hook))

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2.5 購読するフォルダの定義

購読するフォルダをファイル ‘~/.folders’ に定義します。 ‘~/.folders’ に書かれた内容がそのままあなたの購読するフォルダとなります。

起動した状態でフォルダ一覧のバッファから購読フォルダを追加/編集すること も可能ですので、この項は読み飛ばしても構いません。 See section 購読フォルダの編集.

~/.folders’ の書き方はとても単純です。こんな感じです。

 
#
# #’ で始まる行はコメント。
# 空行は無視。
#
# フォルダ  "あだ名"
# (あだ名は無くてもよい)
#
%inbox  "受信箱"
+trash  "ゴミ箱"
+draft  "草稿"
%#mh/Backup@my.imap.example.com "送信済み"
# グループの定義
Emacsen{
    %#mh/spool/wl            "Wanderlust ML"
    %#mh/spool/elips         "ELIPS ML"
    %#mh/spool/apel-ja       "APEL (日本語) ML"
    %#mh/spool/xemacs-beta   "XEmacs ベータ"
    -fj.news.reader.gnus@other.nntp.example.com
    *-fj.editor.xemacs,-fj.editor.mule,-fj.editor.emacs "fj の Emacsen"
}
#
# 行末に ‘/’ がつくと、そのフォルダに含まれるサブフォルダ全てが
# ひとつのグループとなる(アクセスグループ)。
#
%#mh/expire@localhost /
# MH のフォルダ全てをひとつのグループにする例。
+ /

一行にひとつ、読みたいフォルダを書きます。 各フォルダの定義については次の章で詳しく説明します。

グループ名{’ と ‘}’ で囲まれた部分は一つのグループと なります。ひとつのグループはフォルダモードでは開閉できるディレクトリのよ うに見えます。いくつかのフォルダをまとめて整理するのに便利です。

注意すべきなのは、‘グループ名{’ と ‘}’ は1行を占領し て書く必要があることです(これはパーサがダサいからです)。

グループには、2つの種類があります。一つは、上の例の ‘Emacsen’ のよ うに直接自分で好きなフォルダをグループとして定義するタイプです。

もう一つは、上の例の ‘+ /’ のような アクセスグループ です。これ は、あるフォルダに含まれるサブフォルダ全てをまとめて一つのグループとするもの です。(その動作はフォルダのタイプによって異なります。例えば ‘+ /’ なら MH のサブディレクトリすべてがひとつのグループとなります。)

実際に試してみて、確認してからの方がわかりやすいかもしれません。 ちょっと書いて試してみてから、またフォルダの定義をやり直すと良いでしょう。


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2.6 Wanderlust の起動

インストール、および設定がうまくいっていれば、

 
M-x wl

で起動できます。 初期化の後、フォルダ一覧を表示するフォルダモードが現れます。

C-u M-x wl のように prefix argument つきで実行すると、 フォルダのチェックを省略して起動します。


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2.7 概観

Wanderlust では基本的に、次に挙げるバッファを互いに行き来しながらメッセージ を取り扱います。それぞれの詳細については以下の各章で説明します。

フォルダバッファ

フォルダの一覧を表示します。フォルダを選択して、そのフォルダのサマリに入ることができます。 また、購読するフォルダを追加したり、編集することもできます。

サマリバッファ

フォルダに含まれるメッセージの一覧を表示します。 ここではメッセージを選択してその内容を表示したり、メッセージに対して返信をすることができます。 また、メッセージを削除したり、別のフォルダに移動させたりすることができます。

メッセージバッファ

メッセージの内容を表示します。パートを保存したり、外部プログラムで開くことができます。

ドラフトバッファ

メッセージの編集を行います。


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この文書はYasutaka SHINDOHによって2011年5月月11日texi2html 1.82を用いて生成されました。