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15. patchの呼び出し

通常patchは以下のように呼び出します.

 
patch <patchfile

patchを呼び出す完全な書式は以下のとおりです.

 
patch options[origfile [patchfile]]

読み込むパッチを‘-i patchfile’や ‘--input=patchfile’オプションで指定することも可能です. patchfileを指定していない場合や,patchfileが‘-’の場合, patchはパッチを標準入力(すなわちdiffの出力)から読み 込みます.

コマンドラインで入力ファイルを指定していない場合,patch前置されるテキスト(leading text)(diffで出力されたパッチ 内のテキスト)から編集するファイルを見つけようとします.

デフォルトで,patchは入力されるオリジナルファイルをパッチを当 てたバージョンに置換し,オリジナルファイルをバックアップファイルに名前を 変えます(patchがバックアップファイルを命名する方法の説明は, see section バックアップファイル名).‘-o file’や ‘--output=file’オプションで出力を書き出す場所を指定すること も可能です.しかし,fileが入力ファイルの一つの場合はこのオプション を使用しないでください.


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15.1 patchのオプション

以下は,GNU patchが受け入れるすべてのオプションの概要です. これらのオプションをpatchの古いバージョンで安全に使用するため, See section GNU patchと伝統的なpatch.

複数の引数を取らない単一文字のオプションを,一つのダッシュを用いて単一の コマンドラインに組み合わせることが可能です.

-b
--backup

バックアップが通常作成されない場合でも,それぞれのファイルのオリジナルの 内容をバックアップします.See section バックアップファイル.

-B prefix
--prefix=prefix

バックアップファイル名にprefixを前置します.See section バックアップファイル名.

--backup-if-mismatch

パッチがファイルに正確にマッチしない場合,それぞれのファイルのオリジナル の内容をバックアップします.これは,POSIX準拠でないときデフォルトの 動作です.See section バックアップファイル.

--binary

標準出力と‘/dev/tty’以外,すべてのファイルをバイナリモードで読み書 きします.このオプションは,GNU/LinuxのようなPOSIX準拠のシステ ムでは効果がありません.このオプションで差異があるシステムでは,パッチを ‘diff -a --binary’で生成するべきです.See section バイナリファイルと,テキストファイルの比較の強制.

-c
--context

パッチファイルを周りの文を使用している差分として解釈します.See section patchの入力書式の選択.

-d directory
--directory=directory

パッチファイルと,それ以外のオプションの引数として与えられるファイルの両 方のファイル名を解釈するため,ディレクトリdirectoryをカレントディ レクトリにします.See section 他のディレクトリでパッチを適用する.

-D name
--ifdef=name

nameを使用してif-then-elseの出力をマージします. See section If-then-elseを用いたファイルのマージ.

--dry-run

実際にファイルを変更せず,パッチを適用した結果を出力します.See section patchが行なうことの予測.

-e
--ed

パッチファイルをedスクリプトとして解釈します.See section patchの入力書式の選択.

-E
--remove-empty-files

パッチを適用した後,空の出力ファイルを削除します.See section ファイルの作成と削除.

-f
--force

ユーザが自分が行なっていることを正確に知っていると仮定し,質問してきませ ん.See section patchからのメッセージと質問.

-F lines
--fuzz=lines

最大のfuzz要素をlinesに設定します.See section 不正確なマッチをpatchが見つけるように手助けをする.

-g num
--get=num

numが正の場合,必要があればリビジョンコントロールシステムから入力 ファイルを取得します.ゼロの場合はファイルを取得しません.負の場合,ユー ザにファイルを取得するかどうか尋ねます.See section リビジョンコントロール.

--help

使用方法の概要を出力し,終了します.

-i patchfile
--input=patchfile

パッチを標準入力からではなくpatchfileから読み込みます.See section patchのオプション.

-l
--ignore-white-space

パッチファイルの連続した空白(スペースとタブ)を,入力ファイルのすべての連 続した空白にマッチさせます.See section 空白が変更されているパッチを適用する.

-n
--normal

パッチファイルを通常の差分として解釈します.See section patchの入力書式の選択.

-N
--forward

patchがリバースパッチまたは既に適用しているものと考えられるパッ チを無視します.‘-R’も参照してください.See section リバースパッチを適用する.

--no-backup-if-mismatch

ファイルのオリジナルの内容をバックアップしません.これは,POSIX準拠 時のデフォルトの動作です.See section バックアップファイル.

-o file
--output=file

出力ファイル名としてfileを使用します.See section patchのオプション.

-pnumber
--strip=number

ファイル名のストリップ数をnumberに指定します.See section 他のディレクトリでパッチを適用する.

--posix

POSIXLY_CORRECT環境変数が設定されているかのように,POSIXに準 拠します.See section patchPOSIXの標準.

--quoting-style=word

QUOTING_STYLE環境変数がwordに設定されているかのように,診断 時の名前を囲む引用符をword形式にします.See section patchが引用符で囲む形式.

-r reject-file
--reject-file=reject-file

リジェクトファイル名としてreject-fileを使用します.See section リジェクトされたファイル名.

-R
--reverse

このパッチが古いファイルから新しいファイルに置き換えるように作成されたと 仮定します.See section リバースパッチを適用する.

-s
--quiet
--silent

エラーが生じない限り,静かに動作します.See section patchからのメッセージと質問.

-t
--batch

質問してきません.See section patchからのメッセージと質問.

-T
--set-time

パッチファイルの編集時間とアクセス時間を,周りの文を使用した差分のヘッダ がローカル時間を使用していると仮定して,周りの文を使用した差分のヘッダの タイムスタンプに設定します.See section パッチファイルのタイムスタンプを更新.

-u
--unified

パッチファイルが一体化した差分だと解釈します.See section patchの入力書式の選択.

-v
--version

バージョン情報を出力し,終了します.

-V backup-style
--version=control=backup-style

バックアップファイル名の名前の変換方法を選択します.See section バックアップファイル名.

--verbose

通常より多くの診断メッセージを出力します.See section patchからのメッセージと質問.

-x number
--debug=number

内部デバッグフラグを設定します.patchへのパッチだけに意味があ ります.

-Y prefix
--basename-prefix=prefix

バックアップファイルのベース名にprefixを前置します.See section バックアップファイル名.

-z suffix
--suffix=suffix

バックアップの拡張子として,‘.orig’や‘~’の代わりにsuffix を使用します.See section バックアップファイル名.

-Z
--set-utc

パッチファイルの編集時間とアクセス時間を,周りの文を使用した差分のヘッダ がUTCを使用していると仮定して,周りの文を使用した差分のヘッダのタイ ムスタンプに設定します.See section パッチファイルのタイムスタンプを更新.


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この文書は新堂 安孝によって2009年9月22日texi2html 1.82を用いて生成されました。