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1. Gnus の起動

Gnus を使う以前にあまり Emacs を使っていないのならば、最初に 異教徒への Emacs を読んでください。

システム管理者が適切な設定をしていたならば、Gnus を起動してニュースを読 むのは非常に簡単です。そう、Emacs で M-x gnus と打つだけです。さも なければ、変数 gnus-select-method をカスタマイズしなければなりま せん。これは ニュースを見つける で説明されています。また、投稿するた めの最低限の設定を行なうために、変数 user-full-name およ び user-mail-address もカスタマイズしなければなりません。

別のフレーム (frame) で Gnus を起動したいときは、 M-x gnus-other-frame 命令を使うことができます。

開始時に何かがうまくいかないときは ‘~/.gnus.el’ ファイルの中で変数 をいくつかいじくりまわさなければならないでしょう。このファイル は ‘~/.emacs’ と似ていますが、こちらは Gnus が起動するときに読み込 まれます。

この説明書でよくわからない用語がでてきたときは、用語の 章 (用語) を参照してください。


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1.1 ニュースを見つける

第一に、Gnus が認知しているすべてのサーバーを列挙してい る *Server* という特別なバッファーがあることを知っていなければな りません。それを見るにはグループバッファーで ^ を押してください。 サーバーバッファーでは、定義されているあるサーバーで RET を押すこ とによって、それが取り扱っているすべてのグループを (講読しているかどうか にかかわらず!) 見ることができます。そこでサーバーを追加または削除したり、 外部 (foreign) サーバーの定義を編集したり、サーバーをエージェント化した り解除したり、さらに他の多くのことを手際良く行なうことができます。 See section サーバーバッファー. See section 外部グループ. See section エージェントの基礎.

変数 gnus-select-method は Gnus がどこでニュースを探すべきかを示 します。この変数ははじめの要素が「方法」、二番目の要素が「場所」を表すリ ストである必要があります。この方法はあなたの基本方法 (native method) に なります。この方法で取ってこないグループはすべて外部 (foreign) グループ です。

例えば NNTP サーバー ‘news.somewhere.edu’ から毎日 (薬の ように) 一定の量のニュースを摂取したいのであれば、

 
(setq gnus-select-method '(nntp "news.somewhere.edu"))

のようにすることができます。

ローカル・スプールのディレクトリーを読み込みたい場合は、

 
(setq gnus-select-method '(nnspool ""))

のようにできます。

ローカルのスプールを使えるのであれば、かなりの確率でその方がずっと速いで しょうし、それを使うべきでしょう。でも、もしあなたのサーバー が Leafnode (それは簡単な個人用のニュースサーバーです) であるならばロー カルスプールを使ってはいけません。この場合 は (nntp "localhost") にしましょう。

もしこの変数が設定されていなければ、Gnus は NNTPSERVER 環境変数を 読みにいきます。もしその変数が設定されていなければ、 Gnus は gnus-nntpserver-file (設定されていない場合 は ‘/etc/nntpserver’) がこの件に関して何かを言っていないかを調べま す。もしそれも失敗したなら、Gnus は Emacs が動作しているサーバー を NNTP サーバーとして使おうとします。随分な当て推量ですけどね。

しかし、普段日常的には一つの NNTP サーバーを使い、違ったサーバー には興味のあるグループが少ししかない場合、グループバッファー で B 命令を使うことの方が良いでしょう。それは、選択可能なグループ を表示し、その中からどれでも好きなものを購読することができます。これ は ‘.newsrc’ の保持をずっとやりやすくします。 See section 外部グループ.

外部グループに対する少し違ったやり方は、変 数 gnus-secondary-select-methods を設定する方法です。この変数に表 されている選択方法は、多くの点で gnus-select-method サーバーの選 択方法と同じように扱われます。起動中にアクティブファイルを探しにいき (も し要求されていれば)、これらのサーバー上にできた新しいニュースグループは 元々のグループと同じように購読されます (もしくは、されません)。

例えばメールを読むために nnmbox バックエンド (back end) を使いた いときは、普通この変数を、

 
(setq gnus-secondary-select-methods '((nnmbox "")))

と設定します。

注: NNTP バックエンドは印ファイル (see section NNTP marks) に印を 保存します。この機能は Gnus がインストールされている複数のホスト間で印を 共有することを容易にしますが、新着記事の取得をちょっと遅くするかもしれま せん。詳細については NNTP marks を参照してください。


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1.2 サーバーが落ちている

ディフォルトのサーバーが落ちているときは、当然 Gnus の起動にいくつかの問 題が発生します。しかし、ニュースグループの他にいくつかメールのグループが あるのならば、それにもかかわらず Gnus を起動する必要があるかもしれません。

信頼できるプログラムの一つである Gnus は、サーバーと接続できないときは基 本選択方法なしで続けるかどうかを尋ねます。これは実際にはサーバーが存在し ないとき (例えば、アドレスを間違えた場合) やサーバーが何らかの理由で一時 的に調子がおかしくなっているときに起こります。もしそのまま続行することに して、外部グループが一つも無い場合、実はグループバッファーではほとんど何 もできないということに気が付くでしょう。でも、ねぇ、それはあなたの問題で す。ブブーッ!

サーバーが完全に落ちているのを知っているか、サーバーでわずらうことなくメー ルだけを読みたいときは、Gnus を起動するのに gnus-no-server 命令を 使うことができます。急いでいるときにもぴったりでしょう。この命令は本来の サーバーには接続しません—その代わりに、レベル 1 と 2 にあるすべてのグ ループを活動状態にします (基本グループでないグループはその二つのレベルに しておくのが望ましいでしょう)。グループレベル も参照してください (訳 注: gnus-no-servergnus-group-use-permanent-levels 変数 の値を 2 に設定することに注意してください)。


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1.3 Gnus をスレーブにする

あなたには二つ以上の Gnus をそれぞれ別の Emacs 上で同時に動かす必要が生 じるかもしれません。違った ‘.newsrc’ ファイルを使っているなら (例え ば、二つの違ったサーバーから読み込むために、二つの違った Gnus を動作させ ている場合)、まったく問題はありません。それを行なえば良いだけです。

問題は、同じ ‘.newsrc’ ファイルを使う二つの Gnus を動かそうとしたと きに起こります。

この問題に対処するために Gnus タワーのシンクタンクにいる私たちは、新しい 概念にたどりつきました。「マスター」と「スレーブ」です。(私たちはこの概 念に特許を申請しました。そして、その言葉の著作権を得ました。お互いに関連 してこれらの言葉を使いたいなら、一回使う毎に、私に $1 を送らなければなり ません。もっちろん「コンピューターアプリケーションのマスター/スレーブ関 係」の使用料はもっと高くなります。)

とにかく、M-x gnus (もしくは、普段やっている方法) で Gnus を普通に 起動します。その後のスレーブ Gnus はそれぞれ M-x gnus-slave で起動 します。スレーブは普通の ‘.newsrc’ は保存しませんが、代わりに「スレー ブファイル」にスレーブの起動中にどのようなグループが読まれたかという情報 だけを保存します。マスター Gnus が起動するとき、それはそれらのスレーブファ イルを読み込み (そして消し)、それらからすべての情報を取り込みます。(スレー ブファイルは、最終的な変更が優先されるようにそれらが作られた順番で読まれ ます。)

もちろん、スレーブファイルからの情報は普通の (すなわち、マスター の) ‘.newsrc’ ファイルよりも優先されます。

スレーブを起動するときにもしマスターの ‘.newsrc*’ ファイル群がセー ブされていなかったら、自動保存されたファイルを読むかどうかを尋ねられるか もしれません。“yes”と答えると、マスターにセーブされていない変更はスレー ブに反映されません。“no”と答えると、マスターで読まれたいくつかの記事が、 スレーブでは未読であると見なされるかもしれません。


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1.4 新しいグループ

新しいニュースグループをまったく見なくても満足ならば、 gnus-check-new-newsgroupsnil に設定することができます。 これを設定した場合、起動にかかる時間が短くなります。この変数 が nil に設定されていても、グループバッファーで U を押せば いつでも新しいグループを購読することができます (see section グループの管理)。ディフォルトではこの変数は ask-server です。この変 数が always に設定されていると、g 命令を実行したときで も Gnus はバックエンドに新しいグループを探すことを求めま す (see section 新着メッセージを探す)。


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1.4.1 新しいグループを調べる

Gnus は、普通はグループが新しいかどうかを、購読しているグループと削除さ れているグループのリストとアクティブファイルを比較することにより判定して います。この方法は特に速いというわけではありません。 gnus-check-new-newsgroupsask-server であると、Gnus は サーバーに、最後に接続してから新しいグループができているかどうかを尋ねま す。この方法は速いし、安上がりです。これにより、削除されたグループのリス トを保持しておくことからから完全に開放されます。ですから、 gnus-save-killed-listnil にすることができるでしょう。 そうすれば、起動、終了の両方、そして全体にわたって時間を節約できます。ディ スク消費量も少なくなります。それなら、どうしてこれがディフォルトではない のでしょう? 残念ながら、すべてのサーバーがこの命令を理解するわけではない のです。

私は今あなたが何を考えているかを当てられます。どうすればサーバー が ask-server を理解するかがわかるのでしょう? え、違うのです か? あぁ、良かった。というのは、確実な答は存在しないのです。私に言えるこ とは、この変数を ask-server に設定して、数日間新しいグループが現 れるかどうかを調べてください、ということだけです。もしいくつかのグループ が現れたなら、それで動作しています。一つも現れなければ、それは動作してい ません。私は、Gnus にサーバーが ask-server を理解するかどうかを推 量させる関数を書くこともできますが、それは単に推量しているにすぎません。 ですから、その関数を書くことはないでしょう。他の方法としては、サーバー に telnet をして、HELP と打ち、サーバーが理解するコマンド の中に ‘NEWGROUPS’ があるかどうかを調べることもできます。もしあれば、 おそらく動作するでしょう (しかし、適切に機能を提供することな く ‘NEWGROUPS’ をリストに含めるサーバーもあります)。

この変数は、選択方法のリストであることもできます。そのときは、 Gnus は ask-server 命令をそれぞれの選択方法に対して実行し、普通の 方法で購読します (もしくは、しません)。これの副作用は、起動にかなり時間 がかかるので、待っている間に瞑想できることです。永久の幸福を達成するため に、マントラ“dingnusdingnusdingnus”を使ってください。


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1.4.2 購読方法

新しいグループに遭遇したときに Gnus が何をするかは、変 数 gnus-subscribe-newsgroup-method によって決定されます。

この変数は関数を含んでいる必要があります。この関数は新しいグループの名前 を唯一の引数として呼ばれます。

いくつかの手軽なプレハブ関数は、以下のようになっています。

gnus-subscribe-zombies

すべての新しいグループをゾンビ (zombie) にします。これがディフォルトになっ ています。後でゾンビを (A z によって) 概観したり、(S z によっ て) 適切にすべてを削除したり、(u によって) 購読したりできます。

gnus-subscribe-randomly

任意の順番ですべての新しいグループを購読します。実際には、すべての新しい グループはグループバッファーの『一番上』に加えられます。

gnus-subscribe-alphabetically

すべての新しいグループをアルファベット順に購読します。

gnus-subscribe-hierarchically

すべての新しいグループを階層的に購読します。この関数 と gnus-subscribe-alphabetically の違いは少ししかありません。 gnus-subscribe-alphabetically は新しいグループを厳密にアルファベッ ト順にならべますが、この関数はグループをその階層の中に入れます。ですから、 ‘rec’ の階層を ‘comp’ の階層の前に持ってきたい場合、この関数は その配置をぐちゃぐちゃにはしません。もしくは、そのようなものです。

gnus-subscribe-interactively

新しいグループを対話的に購読します。これは Gnus が すべて のグ ループに対して尋ねることを意味しています。購読するグループは階層的に購読 されます。

gnus-subscribe-killed

すべての新しいグループを削除します。

gnus-subscribe-topics

グループを、それに合致する subscribe トピックパラメーターを持って いるグループに入れます (see section トピックパラメーター)。例えば、以下のよう な subscribe パラメーター

 
"nnml"

は、その正規表現に合致するすべてのグループはそのトピックの下で購読される ということです。

グループに合致するトピックが無い場合、グループは最上位のトピックで購読さ れます。

上の変数と密接に関係する変数は、 gnus-subscribe-hierarchical-interactive です。この変数 が nil でないと、Gnus は階層的な方法で新しいグループを購読するか どうかを尋ねます。Gnus はそれぞれの階層で、それを下に降りるかどうかを尋 ねます。

よくある間違いは、数段落前の (gnus-subscribe-newsgroup-method) 変 数を gnus-subscribe-herarchical-interactive に設定することです。 これは誤りです。これは動作しません。これはおめでたい人のすることです。で すから、絶対にしないでください。


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1.4.3 新しいグループを選別する

どの新しいグループが購読 (もしくは、無視) されるべきかを管理する快適で手 軽な方法は、‘.newsrc’ ファイルの先頭に options 行を挿入するこ とです。次は、例です。

 
options -n !alt.all !rec.all sci.all

この行は、明らかにまじめで理知的で科学的な人間 (あるいは彼女はどこにでも いる単につまらない人かもしれないけれど) が書いたものです。なぜなら、これ は ‘alt’ と ‘rec’ で始まる名前を持つグループはすべて無視され、 ‘sci’ で始まる名前を持つグループはすべて購読する、ということを表し ているからです。Gnus はこれらのグループを購読するのに普通の購読方法を使 いません。代わりに gnus-subscribe-options-newsgroup-method が使わ れます。この変数はディフォルトで gnus-subscribe-alphabetically に なります。

.newsrc’ ファイルをいじりたくない場合は、 gnus-options-subscribegnus-options-not-subscribe の二 つの変数だけを設定することもできます。この二つの変数は ‘.newsrc’ ファ イルの ‘optinos -n’ 行とまったく同じことをします。どちらの変数も正 規表現で、新しいグループは前者に合致すれば無条件に購読され、後者に合致す ると無視されます。

さらにここでおせっかいをする変数は、 gnus-auto-subscribed-groups です。それ は gnus-options-subscribe とまったく同じように動作するので、本当 は余分なものです。しかし、私はこの二つがあった方が良いと思いました。もう 一方の変数は利用者がいじくるのに使われるのに対して、この変数はいくつかの 基本的な規則を設定するためのものです。ディフォルトではこの変数はメールバッ クエンド (nnml, nnbabyl, nnfolder, nnmbox, nnmh, nnimap および nnmaildir) からできるすべての新 しいグループを購読するようになっています。それが嫌であれば、この変数を nil に設定してください。

これだけでも十分ですが、さらに gnus-auto-subscribed-categories は、 それらの選択方法が属するカテゴリーに基づいて講読されるべきであることを明 示できるようにします。ディフォルトは ‘(mail post-mail)’ で、メール のようなバックエンドに基づく新しいグループは、すべて自動的に講読されるは ずです。

これらの変数に合致する新しいグループ は gnus-subscribe-options-newsgroup-method を使って購読されます。


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1.5 サーバーを換える

ときどき、ある NNTP サーバーから別のサーバーへ移動しなければな らないことがあります。このようなことはめったにおきませんが、おそらくあな たが仕事を変えたり、使っているサーバーがとても不安定で、別のものに乗り換 えたいというときに必要になるでしょう。

サーバーを変更するのはとても簡単ですよね? gnus-select-method を新 しいサーバーを指し示すように変更すればいいだけですね?

違います!

記事の番号は違った NNTP サーバーでも (どうにかして) 同じにして あるということはありません。そして、Gnus がどの記事を読んだかを記録する 唯一の方法は、記事番号を記録することです。ですか ら gnus-select-method を変更したときは、‘.newsrc’ ファイルは 役に立たなくなります。

M-x gnus-group-clear-data-on-native-groups コマンドを使って、基本 グループに関するデータをすべて消去することができます。注意して使ってくだ さい。

gnus-group-clear-data コマンドは現在のグループのすべてのデータを クリアします—印と既読記事のリストを消し去ります。

サーバーを変更した後で、キャッシュ階層を移動させなけれ ば なりません。というのは、キャッシュ記事は間違った記事番号になっ ており、それは Gnus がどの記事を読んだとみなすかに影響します。 gnus-group-clear-data-on-native-groups はそれを自動で行なってしま うかどうかを尋ねます。gnus-group-clear-data では M-x gnus-cache-move-cache が使えます (でも気を付けて、それはすべてのグルー プのキャッシュを移動してしまいますから)。


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1.6 起動ファイル

最もありふれた Unix のニュースリーダーは、‘.newsrc’ と呼ばれる共用 の起動ファイルを使います。このファイルは、講読しているグループと、それら のグループにおいてどの記事が読まれたかの、すべての情報を持っています。

GNUS ではものごとが少々複雑になっています。‘.newsrc’ ファイル を最新のものにするだけではなく、‘.newsrc’ ファイルには合わない情報 を保存しておくために ‘.newsrc.el’ と呼ばれるファイルを使います。(実 際は ‘.newsrc’ ファイルのすべての情報を複製して保持しています。) GNUS はこれらの中で一番最後に保存されたものを使います。これをするこ とにより、GNUS と他のニュースリーダーを切り替えて使うことができます。

これはちょっと間が抜けているので、Gnus はもっと良い方法を編み出しました。 ‘.newsrc’ と ‘.newsrc.el’ ファイルに加えて、 Gnus は ‘.newsrc.eld’ と呼ばれるファイルも持っています。Gnus はこれ らの中で一番新しいファイルを読みますが、‘.newsrc.el’ ファイルに書き 込むことはありません。‘.newsrc.eld’ ファイルは絶対に消すべきではあ りません。—それは ‘.newsrc’ ファイルにはないたくさんの情報を保持 しています。

gnus-save-newsrc-filenil にすることによっ て ‘.newsrc’ ファイルに書き込むのを止めることができます。そうすれば、 そのファイルを削除することができ、ディスク容量を節約することができ、 Gnus の終了が速くなります。しかし、そうすると他のニュースリーダーを使え なくなります。でも、ちょっと、誰かそうしたい人がいるでしょうか。同じよう に gnus-read-newsrc-filenil にすることによって、 Gnus は ‘.newsrc’ ファイルとすべての ‘.newsrc-SERVER’ ファイル を無視するようになります。そのことは、あなたが時々違うニュースリーダーを 使ったり、利用可能なグループの異なるサブセットをそれらのニュースリーダー で読みたい場合に、便利なことがあります。

gnus-save-killed-list (ディフォルトは t) が nil で あると、Gnus は削除されたグループを起動ファイルに保存しません。これ は (起動時と終了時の) 時間と、(ディスクの) 容量を節約します。こうする と Gnus がどのグループが新しいかの記録を持っていないことになるので、新し いグループの自動購読方法は意味が無くなります。この変数を nil にし たときは、gnus-check-new-newsgroups を常 に nilask-server にしておくべきでしょう (see section 新しいグループ)。この変数は正規表現であることもできます。そのような場合は、ファ イルを保存する直前にその正規表現に合致しないすべてのグループを消去します。 これは、すべてのサーバーが ask-server を理解するわけではない、と いったような、いくらかあいまいな状況のときに役に立つでしょう。

変数 gnus-startup-file は起動ファイルがどこにあるかを指定します。 ディフォルト値は ‘~/.newsrc’ で、それがどのようなものであれ、末尾 に ‘.eld’ を付けたものが Gnus (El Dingo) の起動ファイルになります。 このファイルのバージョン制御をしたいとき は gnus-backup-startup-file をセットしてください。それ は version-control 変数と同じ値を取ります。

gnus-save-newsrc-hook は各種の newsrc ファイルのどれかを保存する 前に実行されるのに対し、 gnus-save-quick-newsrc-hook は ‘.newsrc.eld’ ファイルを保存 する前に実行され、 gnus-save-standard-newsrc-hook は ‘.newsrc’ ファイルを保存す る前に実行されます。後の二つは普通はバージョン制御を on/off するのに使わ れます。ディフォルトでは、起動ファイルを保存するときにバージョン制御が行 なわれます。バックアップファイルの作成を止めたいときは、次のようにしてく ださい。

 
(defun turn-off-backup ()
  (set (make-local-variable 'backup-inhibited) t))

(add-hook 'gnus-save-quick-newsrc-hook 'turn-off-backup)
(add-hook 'gnus-save-standard-newsrc-hook 'turn-off-backup)

Gnus が起動すると、gnus-site-init-file (ディフォルト で ‘.../site-lisp/gnus-init’) と gnus-init-file (ディフォル トで ‘~/.gnus’) のファイルを読み込みます。これらは普通 の Emacs Lisp ファイルで、‘~/.emacs’ や ‘site-init’ ファイル を Gnus 関係のもので乱雑にしないようにするために使うことができます。 Gnus はこれらと同じ名前のファイルに、接尾語 ‘.elc’ と ‘.el’ が 付いているものも調べます。言い換えれば、 gnus-init-file を ‘~/.gnus’ に設定すると、 Gnus は ‘~/.gnus.elc’, ‘~/.gnus.el’ を探し、最後 に ‘~/.gnus’ を (この順番に) 探します。‘-q’ また は ‘--no-init-file’ オプション (see (emacs)Initial Options section ‘Initial Options’ in The Emacs Editor) が指定されて Emacs が起動された場合、 Gnus は gnus-init-file を読み込みません。


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1.7 自動保存

何か Gnus のデータを変更すること (記事を読む、印を付ける、グループを削除 または購読する) をしたとき、変更は特別な「ドリブルバッファー」(dribble buffer) に書き込まれます。このバッファーは Emacs が普通するように自動保 存されます。‘.newsrc’ ファイルを保存する前に Emacs が落ちたときは、 すべての変更をこのファイルから回復することができるでしょう。

起動時に Gnus がこのファイルの存在を発見すると、Gnus はそれを読み込むか どうかを利用者に尋ねます。本当の起動ファイルが保存されれば、自動保存ファ イルは削除されます。

gnus-use-dribble-filenil であると、Gnus はドリブルバッ ファーを作ったり、維持したりしません。ディフォルトは t です。

Gnus はドリブルファイルを gnus-dribble-directory に置きます。ディ フォルトではそのようになっていますが、この変数が nil であると、 Gnus は ‘.newsrc’ ファイルの置かれているディレクトリー (これは普通 は利用者のホームディレクトリーです) に入っていってドリブルファイルを作り ます。ドリブルファイルは ‘.newsrc’ と同じ許可属性を与えられます。

もし gnus-always-read-dribble-filenil でなければ、 Gnus は利用者に尋ねること無く、ドリブルファイルを起動時に読み込みます。


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1.8 アクティブファイル

Gnus は起動したときや、実際に新しい記事が到着しているかを判定しようとす るときに、アクティブファイルを読み込みます。これはとても大きなファイルで、 そのサーバーの活動中のグループと記事のすべてのリストが入っています。

アクティブファイルを検査する前に、Gnus は正規表 現 gnus-ignored-newsgroups に合うすべての行を削除します。これは主 に偽の名前を持つグループを排除するために使われてきましたが、興味の無いグ ループの階層を無視するために使うこともできます。しかし、これはお勧めでき ません。本当のことを言うと、まったく賛成できません。代わりに、そのような 用途に用いられる変数の概略を知るために、新しいグループ を参照してくだ さい。

アクティブファイルは比較的大きくなる傾向があるので、遅い回線を使っている ときは、アクティブファイルを読み込まないよう に gnus-read-active-filenil に設定することができます。 この変数はディフォルトでは some です。

そのような時は、Gnus は実際に購読されているグループに関する情報だけを得 てやっていこうとします。

気を付けてほしいのは、あなたが山ほどのたくさんのグループを購読していると きにこの変数を nil に設定すると、Gnus は速くなるどころか遅くなっ てしまうということです。現状では、ニュースを 2400bps 以上のモデムを通し て読んでいるのでない限り、Gnus の速度はかなり遅くなるでしょう。

この変数は some という値も取ることができます。その時は、Gnus は購 読しているグループに関する情報をだけを得ようとします。いくつかのサー バー (LIST ACTIVE group 命令を使うことのできる、最新鋭の INN サー バー) では、非常に早くなるでしょうが、他のサーバーでは速くはありません。 どのようにせよ、遅い回線では somenil よりも速く、それ はもちろん t よりも速くなります。

いくつかのニュースサーバー (例えば古い Leafnode や古い INN) に は LIST ACTIVE group 命令がありません。そういうサーバーに は nil をこの変数の値に設定するのが、おそらくもっとも有効でしょう。

もしこの変数が nil であると、Gnus は完全にがんじがらめの方法でグ ループの情報を得ようとします。そして、これはあまり速くありません。もしそ れが someNNTP サーバーを使っているときは、Gnus はで きるだけ速く命令を出し、一撃ですべての返答を読み込みます。この方が普通は より良い結果をもたらしますが、サーバーが LIST ACTIVE group 命令を 理解しないなら、サーバーにとってはあまり良いとは言えません。

Gnus の起動にあまりに時間がかかると思ったなら、この変数にこれらの三つの 違った値を試してみて、どれが一番良いかを探してください。

somenil を使うのであれば、どちらにしろ速度を上げるため にすべての興味の無いグループを必ず削除するべきでしょう。

この変数は第二の (secondary) 選択方法のアクティブファイル取得にも影響す ることに気を付けてください。


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1.9 起動変数

gnus-load-hook

Gnus (のプログラム) が読み込まれるときに実行されるフックです。何 度 Gnus を起動しても、Emacs が起動してから終了するまでに普通はこのフック は一回しか実行されないことに注意してください。

gnus-before-startup-hook

Gnus が起動するとき、最初に呼ばれるフックです。

gnus-startup-hook

Gnus が起動された後に、一番最後に実行されるフックです。

gnus-started-hook

Gnus の起動に成功した後に、一番最後に実行されるフックです。

gnus-setup-news-hook

.newsrc’ ファイルを読み込んだ後で、グループバッファーを作成する前 に実行されるフックです。

gnus-check-bogus-newsgroups

もし nil でないと、Gnus は起動時にすべての偽グループを調べて削除 します。「偽グループ」(bogus group) はあなたの ‘.newsrc’ ファイルに は存在するけれど、ニュースサーバーには実際には存在しない、というグループ のことです。偽グループを調べるのにはかなり時間がかかるので、時間と資源を 節約するために、この機能は使わないほうがいいでしょう。そして、代わりにグ ループバッファーで時々偽グループを調べるのが良いでしょう (see section グループの管理)。

gnus-inhibit-startup-message

もし nil でないと、起動時のメッセージは表示されません。そのように すれば、仕事の代わりにニュースを読んでいるのを上司に気付かれにくくなるで しょう。この変数は ‘~/.gnus.el’ がロードされる前に使われるので、 ‘.emacs’ に設定するべきである点を注意してください。

gnus-no-groups-message

グループが一つも存在しないときに Gnus が表示するメッセージです。

gnus-use-backend-marks

もし nil でなかったら Gnus は記事の印を ‘.newsrc.eld’ ファイ ルとバックエンドの両方に格納します。これはグループの操作をいくらか遅くし ます。


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