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A. クイックリファレンス

この付録では、ディレクティブ、テキスト操作ファンクション、そしてGNUの makeが理解しうる特別な変数などについて要約します。 そのほかの要約については、特別な組み込み済みターゲット.、 暗黙のルールのカタログ.、 オプションのサマリー.を参照してください。

GNUのmakeが認識可能なディレクティブは以下のものです。

define variable
endef

複数行の定義、変数の再帰的展開。 See section コマンドの組み合わせの定義.。

ifdef variable
ifndef variable
ifeq (a,b)
ifeq "a" "b"
ifeq 'a' 'b'
ifneq (a,b)
ifneq "a" "b"
ifneq 'a' 'b'
else
endif

makefileの一部の条件の評価。 See section Makefileの条件文.。

include file
-include file
sinclude file

ほかのmakefileのインクルード。 See section ほかのMakefileをインクルードする.。

override variable = value
override variable := value
override variable += value
override variable ?= value
override define variable
endef

変数の定義、コマンド行によるものも含めて、以前の定義のオーバーライド。 See section overrideディレクティブ.。

export

デフォルトで、子プロセスに対してすべての変数をmakeにエクスポートさせる 指示。 See section サブのmakeへの変数の伝達.。

export variable
export variable = value
export variable := value
export variable += value
export variable ?= value
unexport variable

子プロセスに対して特定の変数をmakeにエクスポートさせるかどうかの指示。 See section サブのmakeへの変数の伝達.。

vpath pattern path

%’パターンにマッチするファイルに対してのパスのサーチ。 See section vpathディレクティブ.。

vpath pattern

patternに対する以前に指定したすべてのサーチパスの削除。

vpath

すべてのvpathディレクティブに対する以前に指定したすべてのサーチパスの削除。

テキスト操作ファンクションの要約を示します (see section テキスト変換のためのファンクション.)。

$(subst from,to,text)

testにおけるfromtoによる置換します。 See section 文字列の代用と分析のファンクション.。

$(patsubst pattern,replacement,text)

testにおけるreplacementとマッチするpatternの語の置換をします。 See section 文字列の代用と分析のファンクション.。

$(strip string)

stringからの多すぎる空白の除去をします。 See section 文字列の代用と分析のファンクション.。

$(findstring find,text)

textfindの位置をみつけます。 See section 文字列の代用と分析のファンクション.。

$(filter pattern…,text)

textのなかで、patternの1つにマッチする語を選択します。 See section 文字列の代用と分析のファンクション.。

$(filter-out pattern…,text)

textのなかで、patternのどれにもマッチしない語を選択します See section 文字列の代用と分析のファンクション.。

$(sort list)

listのなかで語をソートし、重複しているものを削除します。 See section 文字列の代用と分析のファンクション.。

$(dir names…)

個々のファイル名からディレクトリ部を展開します。 See section ファイル名に対するファンクション.。

$(notdir names…)

個々のファイル名からディレクトリでない部分を展開します。 See section ファイル名に対するファンクション.。

$(suffix names…)

個々のファイル名のサフィックス(最後の‘.’とそれに続く文字)を展開します。 See section ファイル名に対するファンクション.。

$(basename names…)

個々のファイル名のベースネーム(サフィックスを除いた名前)を展開します。 See section ファイル名に対するファンクション.。

$(addsuffix suffix,names…)

namesにあるそれぞれの語にsuffixを追加します。 See section ファイル名に対するファンクション.。

$(addprefix prefix,names…)

namesにあるそれぞれの語にprefixを先頭に追加します。 See section ファイル名に対するファンクション.。

$(join list1,list2)

2つの語のリストを結合します。 See section ファイル名に対するファンクション.。

$(word n,text)

textn番目の語を展開します。 See section ファイル名に対するファンクション.。

$(words text)

textの語数をカウントします。 See section ファイル名に対するファンクション.。

$(wordlist s,e,text)

textのなかのsからeまでのリストを返します。 See section ファイル名に対するファンクション.。

$(firstword names…)

namesの最初の語を展開します。 See section ファイル名に対するファンクション.。

$(wildcard pattern…)

シェルのファイル名のパターン(‘%’パターンではなく)にマッチする ファイル名の発見をします。 See section ワイルドカードの機能.。

$(error text…)

このファンクションが評価される際は、makeはメッセージtextを 伴う致命的なエラーを起こします。 See section Makeをコントロールするファンクション.。

$(warning text…)

このファンクションが評価される際は、makeはメッセージtextを 伴うワーニングを発します。 See section Makeをコントロールするファンクション.。

$(shell command)

シェルコマンドを実行し、出力を返します。 See section shellファンクション.。

$(origin variable)

makeの変数variableがどのように定義されたかを記述する文字列を 返します。See section originファンクション.。

$(foreach var,words,text)

wordsの個々の語で拘束されたvarによってtextを評価し、 結果を連結します。 See section foreachファンクション.。

$(call var,param,…)

$(1)、すべての参照を置き換える変数varを評価します。 See section callファンクション.。

自動変数の要約を示します。 すべての情報はSee section 自動変数.。

$@

ターゲットのファイル名。

$%

ターゲットがアーカイブメンバーであるときのターゲットメンバー名。

$<

最初の必要条件の名前。

$?

スペースで区切られた、ターゲットよりも新しいすべての必要条件の名前。 アーカイブメンバーである必要条件に対してはメンバー名だけが使用されます (see section アーカイブファイルのアップデートにmakeを 使用する.)。

$^
$+

スペースで区切られたすべての必要条件の名前。アーカイブメンバーである 必要条件に対してはメンバー名だけが使用されます(see section アーカイブファイルのアップデートにmakeを使用する.)。 $^の値は$+がそれを保存し順序も保存するあいだは、重複した 必要条件を省略します。

$*

暗黙のルールがマッチするstem(see section パターンマッチの方法.)。

$(@D)
$(@F)

$@のディレクトリ部とファイル名だけの部分。

$(*D)
$(*F)

$*のディレクトリ部とファイル名だけの部分。

$(%D)
$(%F)

$%のディレクトリ部とファイル名だけの部分。

$(<D)
$(<F)

$<のディレクトリ部とファイル名だけの部分。

$(^D)
$(^F)

$^のディレクトリ部とファイル名だけの部分。

$(+D)
$(+F)

$+のディレクトリ部とファイル名だけの部分。

$(?D)
$(?F)

$?のディレクトリ部とファイル名だけの部分。

これらの変数はGNUのmakeで特別に使用されます。

MAKEFILES

makeの呼び出しの際に毎回読み込まれるmakefile。 See section MAKEFILESの変数.。

VPATH

カレントディレクトリで発見されないファイルに対するディレクトリサーチパス。 See section VPATH:すべての必要条件のサーチパス.。

SHELL

システムでデフォルトのコマンドインタープリタの名前で通常は‘/bin/sh’ です。コマンドを実行するシェルをmakefileのなかでSHELLにセットして 変更することが可能です。See section コマンド実行.。

MAKESHELL

MS-DOSだけにおける、makeで使用されるコマンドインタープリタの名前。 この値は、SHELLの値よりも優先します。 See section MAKESHELL変数.。

MAKE

makeが呼び出される際の名前。コマンドでこの変数を使用する際は特別な 意味を持ちます。 See section MAKE変数の働き.。

MAKELEVEL

再帰的呼び出しのレベルの数。 See section サブのmakeへの変数の伝達.。

MAKEFLAGS

makeに与えられるフラグ。環境変数またはmakefileでセットできます。 See section サブのmakeへのオプションの伝達.。

コマンド行でMAKEFLAGSディレクトリを使用することは決して よいことではありません。その理由は、シェルにおける使用に対してその内容が 適切に引用されないことがあるからです。親プロセスから受け継いだ環境変数を 通してmakeが再帰的にこれらの値を取得することはつねに許可されます。

MAKECMDGOALS

コマンド行においてmakeに与えられるターゲット。この変数をセットする ことはmakeの動作に何の影響も与えません。 See section ゴールを指定する引数.。

CURDIR

カレントの作業用ディレクトリのパス名をセットします(もしあったとしても、 -Cオプションが処理されたあとで)。この変数をセットすることはmake の動作に何の影響も与えません。 See section makeの再帰的用法.。

SUFFIXES

makeがどのmakefileをも読み込むまえのデフォルトのサフィックスのリスト。

.LIBPATTERNS

makeがサーチするライブラリの名前付けと順序の定義。 See section リンクライブラリに対するディレクトリサーチ.。


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この文書は新堂 安孝によって2009年9月22日texi2html 1.82を用いて生成されました。